ペットフードにもオーガニックがあるの? と驚かれるかもしれません。食品の有機JASの登録認定機関でもあるオーストラリアのACOがペットフードのオーガニック認証を行っています。

 その前に 「ペットフード安全法(正式名称「 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」((農林水産省)が平成20年(2008)に制定されました。運営に際しては環境省も協力しています。以下に環境省作成のパンフレットからその概要を引用します。


ペット安全安全法制定の経緯

「近年、ペットは家族の一員として飼われ、多くの飼い主が市販のペットフードを与えています。そんな中、平成19年の春に、有害物質(メラミン)が混入した原料を用いて製造されたペットフードにより、米国で犬・猫の大規模な健康被害が発生しました。
 問題のペットフードは日本にも輸入されていましたが、販売業者の自主回収により、健康被害の発生は、幸いにも回避することができました。
 以前より、業界団体も自主的にペットフードの安全を守る取り組みを続けてきましたが、この問題を契機に、国内で販売されるペットフードそのものを規制する法律がないことへの不安が高まりました。
 そこで誕生したのがペットフード安全法です。平成21年6月1日に、環境省と農林水産省共管のもと、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(通称:ペットフード安全法)」として施行され、その後も安全性の確保に関する基準・規格等の検討が続けられています。」(以上:環境省パンフレット「ペット安全法のあらまし」から原文)

 2008年に中国でメラミン混入粉ミルク事件が起き、多くの乳幼児が腎不全を発症したことは記憶に新しいですね。2007年のペットフード事件の原因もメラミンですが、メラミンは本来は樹脂の原料です。中国産のペットフードに使われた「コムギグルテン」が、実は小麦粉にメラミンやメラミン類似体を 混ぜただけのもので、それを原料にして作ったペットフードを食べたイヌやネコが腎不全になったというものです。
 

次の図は「ペット安全法」で決められたペットフードの成分規格です。

 1μg=1/1000mg=0.001mgなので上の表のメタミドホスの規制値0.2μgは0.0002mgですが、/gとなっているので/kgに直すと0.2mg/kgとなります。なぜわざわざに直したかというと、人間の食品中のメタミドホスの残留基準は0.01ppm=0.01mg/kgですのでそれと比較するためです。人間と犬や猫では体の大きさが違いますから一概には言えませんが、人間のADIでいえば、0.01ppmは体重3キロのあかちゃんでは0.01×3=0.03mg/kg(食品中)が一日の許容量になります。体重3キロのペットでは0.2×3=0.6mg/kg(食品中)となります。
       
        メタミドホスの許容量値
            体重3キロのヒト=0.03mg/kg(食品中)
            体重3キロのネコ=0.6mg/kg(食品中)

 食品安全委員会で以前作成したADIの設定に際しての説明資料の中ではイヌのメタミドホスの無毒性量O.O6mg/体重kg/日となっていますので、うえの図表の数値0.2mg/kgは緩すぎようように思います。

 添加物欄のエキシトシン、BHT,BHAは酸化防止剤として使われますが、発がん、催奇性、繁殖不全などを引き起こすとされています。

 

製造方法基準

 

表示基準

 ペットフードのパッケージには次の内容を記載しなければなりません。

(1)ペットフードの名称
(2)ペットフードの目的(総合栄養食、間食、その他の目的食の別)
(3)内容量
(4)給与方法
(5)賞味期限
(6)成分
(7)原材料名
(8)原産国名
(9)事業者の氏名又は名称及び住所

上の図で「ペットフード安全法以外の表示」とあるのは公正取引委員会・消費者庁の公正規約で決められたものです。
 

原材料の原産地はやはりわからない

 ここで注意してほしいのは原産国名です。食品の表示でも学ぶのですが、食品の表示はかなりややこしくJAS法が絡んだり食品衛生法が絡んだりのほかものによっては業界団体の○○取引協議会の自主基準が関係してきます。ペットフードは「ペットフード取引協議会」という任意団体が自主基準を設けています。そこで決めている「原産国」の表示については次のように決められています。

 「ペットフードの製造に於いて、最終加工をした場所が原産国となります。リパックや詰替えなどは加工にはなりません。日本が原産国の場合は、原産国名を省略できます。 」
 
 言い換えれば、中国産の原材料を仕入れて国内で加工すれば原産国は日本となり、肝心な原材料については正体不明になってしまうことです。これは私達の食品にも当てはまることでいわゆる「抜け道」になっています。


罰則

 (以上、図はすべて環境省パンフレット「ペットフード安全法」のあらまし」より転載)

 

オーガニックペットフード

 これまでペット安全法について書いて来ましたが、以前より安心になったとは言え、やはり化学合成物質が多用されていることには変わりありません。家族の一員であるペット(この呼び名は好きではありませんが)も家族同様大切にしたい方にはやはり食品とほぼ同じオーガニック基準で作られているオーガニックペットフードをお勧めしたいものです。冒頭で触れたACO認定のものなどはやはりお勧めです。
 

 

 閑話休題
 日本のペットフード製造・販売業界でただ一人、オーガニックコーディネーターを取得された方がいらっしゃいます。手前味噌ではなくこういった方がいらっしゃる会社の製品は本当に安心できます。
 このページの執筆者は部類の動物好きで、タイトルのところのワンちゃんは友達のマック、で寝ているのは愛猫のチビチビです。下の大の字になって寝ているのはモンですw。

 ちなみに代替わりする前、3匹いましたが全員20歳まで頑張りましたw。