有機JASについて

有機JASマーク


有機JASで定める「有機」には 以下の種類があります。

  1.  有機農産物
  2. 有機藻類
  3. 有機畜産物
  4. 有機加工食品(令和4年(2022)10月1日から有機酒類含む)
  5. 有機飼料

        ・有機JAS食品についてはこちらをご覧ください。

         ・オーガニックアロマについてはこちらをご覧ください。

日本オーガニック推進協議会 オーガニック資格

有機ほうれん草」「オーガニックトマト」などのように「有機○○」「オーガニック○○」と表示するためには有機JASマーク(上のマーク)が貼られてなければなりません。また、マークの一部に必ず認定した「登録認定機関名」が入ってます。このマークがないのに「有機○○」「オーガニック○○」と表示すると、表示違反で違反したものは、農林水産大臣から勧告を受け、それでも改善されない場合には、新聞等に公表され、

最高で

      個人:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
      法人:1億円以下の罰金

が課されることになりました。

このマークは、太陽と雲と植物をイメージしたものです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品を表しています。これまでは、有機食品に統一の基準が無かったため、消費者は商品を選ぶ時に何を基準に選べばいいか分かりませ
んでした。無農薬、低農薬、減農薬、有機・・・・その違いは一体どこにあるのか、よほどの専門家でないかぎり説明できませんでした。そこで平成117月に成立した農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)の一部を改正する法律に基づき、平成126月から有機農産物及び有機農産物加工食品について日本農林規格(JAS規格)を定め、有機JASマークが付されたものでなければ「有○○」「オーガニック○○」と表示ができないことになりました。

 海外からの輸入品でも、日本で売る場合には、有機JASマークがついてないものを、たとえば「有機トマトケチャップ」「オーガニックグレープジュース」などと表示してはいけないことになっています。

ついでですが、「無農薬」「低農薬」「減農薬」という表示も現在は禁止されています。これらは「特別栽培○○」と表示しなけ ればいけない ことになっています。これもまた、ややこしい話です。食事をするのにいちいちいろんなことを覚えないと安心し てごはんも食べることができ ないということでしょうか。これではまるでコンピュータを覚えるようなものですね。結論を言うと、全 て自己責任の時代に入ったということなのでしょう。

 

  環境保全に資する農業が有機農業―有機農産物について

  有機農産物とはどういうものでしょう。有機農産物のJAS規格は、

  1. ●     堆肥等で土作りを行い、種まき又は植え付けの前、2年以上(作物によっては3年以上)、禁止された(化学的に合成された)農薬や化学肥料、土壌改良剤を使用してない田畑で栽培する。
  2. ●     栽培中も禁止された農薬、化学肥料は使用しない。
  3. ●     遺伝子組換えの種を使わない。
  4. ●     農作地は周辺から農薬等使用禁止資材が飛来、流入しないように区分されている。
  5. ●     育苗の用土は原則として認定圃場の条件を満たす土壌を用いる。
  6. ●     輸送、小分け等に当たっても、農薬、洗浄剤、消毒剤と接触(移染)しないように管理する。
  7. ●     などの生産方法を定めています

 それでは、「無農薬」と「有機」のどこがどう違うのでしょう。この点については、生産者の方でも大学の農学部の先生でも間違うことがあり す ので、以下に簡単に説明します。「無農薬」とは文字通り、農薬を使わないことですが、「有機」の場合は、「化学的に合成された肥料及び薬の使用を避けることを基本とする」となっていま す。つまり、有機は完全に無農薬だということではないということです。こう聞くと「なあん だ」と 思う方もいらっしゃるかも知れませんが、ちょっと待ってください。有機栽培では、「化学的に合成されたものでない」ことを基本とした農薬で、使っても良い とされているものもあります。しかし、使っても良い場合は、異常気象等により害虫が大量発生したり、作物の病気が発生したり、このままでは作物が全滅するなどの場合とされています。   また、「有機」がこれまで考え方と大きく違うのは、単に化学的に合成された肥料や農薬、土壌改良剤の使用を避ける(これからは「使用禁止資材」といいま す)というだけではなく、有機栽培のほ場に、周辺から使用禁止資材が飛来しないようにしなければならない、また、水田では、用水に用禁止資材が流入しない ようにしなければならないと されている点です。つまり、「無農薬」はほ場に限定した話ですが、「有機」では周辺環境が大いに関係するというわけです。  

すこし硬いですが有機JASにはこう書かれています。

有機農産物の生産の原則

 農業の自然環境機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産されること。

  つまり、有機栽培は、環境を保全して持続可能な社会を実現するための環境に資する農業でもあるということです。日本で農薬が本格的
に使われだしたのは、第二次世界大戦後です。戦後の食料難の時代に食糧の安定生産のために次々と新しい農薬が農産物の生産現場で使用されることになりました。ところが、1961年に、1957年から使われだし急速に広まった除草剤のPCPによる魚の大量死が社会問題となり、農薬が自然環境に多大な害を及ぼす可能性について広く知られることになりました。

  1962年、レイチェル・カーソン女史による有名な『沈黙の春(サイレント・スプリング)』が出版されDDTBHCといった化学物質が重大な環境汚染を引き起こすことを警告しました。 ま た、 1962年にチッソ水俣工場の公害問題を告発した石牟礼道子著『苦海浄土』が出版され、1974年から朝日新聞に連載された有吉 佐和子氏の『複合汚』が「米に虫がわかなくなった」との身近な出来事から「複合汚染」問題を警告し、化学物質が環境・人体へ大きな影響を及ぼす ことが広く知れわたりました。「複合汚染」「公害」という言葉が人口に膾炙したことをご存知の方も多いと思われます。

 そして1971年の農薬取締法の改正により農薬の使用に関しては厳しい規制が敷かれることになりました。農業問題と環境問題は実はとても密接な関係にあることが多くの研究で明らかになってきたのです。今回の「改正JAS」は、長年にわたり土壌に蓄積され環境に著しい影響を及ぼすと考えられる化学的に合成された農薬や堆肥、土壌改良剤などを原則使用しない、と同時にほ場にも先述した使用禁止資材が飛来・流入しないようにするという点でこれまで漠然ととらえられていた「有機」と一線を画す画期的なものだということがお分かりいただけたでしょうか。'80年代の「有機ブーム」と決定的に違うのは「国際化社会」の流れも大きく関係してますが、少々専門的になりますのでここでは触れません。

輸送・選別・調整・洗浄・貯蔵・包装の全行程でも管理

今回改正の「有機」の特徴はこれだけではありません。詳細は有機JASの別表に譲りますが、もっとも大きな点は、輸送・選別・調整・洗浄・貯蔵・包装の全 工程で農薬、洗浄、消毒剤その他の薬剤に汚染されないように管理されていなければならない点です。また、有機農産物以外の農産物が混入しないように、作業 場、農機具置場、資材置場もきちんと管理されていなければいけません。

有機JASマークは、これらの諸条件を厳密に守って作られた食品であることを証明するものなのです。では、一体誰が有機JASマークを貼っても良いと判断したり、実際に生産したりしているのでしょう。次の図をご覧ください。

有機JASの認定の仕組み

 図だけだと分かりにくいかもしれません。皆、堅苦しい言葉に聞こえますね。この図を見ると「登録認証機関」が全てを管理しているように見えます。この「登録認証機関」は民間であったり、県であったりします。今回の「改正JAS」で大きく変わるのはこの「登録認証機関」の権限を大幅に認める代わりに品質管理の手法を国際的な規格のISOのガイド65(ISO/IEC65)に準拠することになりました。今までは「登録認定機関」でも 実際いい加減なところもありました。農水省のHPにも認定機関の取り消し等の情報が載ってますのでご覧になってみると良いでしょう。ISOのガイド65に準拠することで登録認証機関になるのが難しくなるわけですから、信頼度が高まるといっていいでしょう。 生 産行程管理者を実際の生産者と考えてください。生産者が自分のほ場を有機農産物を生産する「有機ほ場」と認定してもらうためには 認定してもらおうとする登録認証機関の定める法定講習会を受講しなければなりません。この講習は1回のところもあれば4回と定めているところがあります。

規定の講習を終了した時点で「生産行程管理者」申請資格が得られます。自動車の免許にたとえると分かりやすいでしょう。講習会は、法令を知るための自動車 学校の講習と同じです。もちろん自信がある人は受講しないで試験を受けてもいいのですが、なかなか難しい内容ですので受講したほうが良いでしょう。自動車 学校では法令を勉強した後で実地試験がありますね。生産行程管理者になるためにはそれと同様に、講習終了後、自分のほ場で有機農産物の生産を始めるために 様々な書類を準備して登録認証機関に申請します。登録認証機関は書類審査・実地検査を行い、基準を充たしていると、そこで認められて初めて「生産行程管理 者」となるのです。つまり、公道で車を運転する運転免許がもらえるのと同じです。有機農産物の運転手が「生産行程管理者」です。2種免 許取得のプロの運転士のようなものです。各種の手続きを経て登録認証機関に認定された生産者が作る農産物だけに、有機JASマークを貼ることができるのです。では、実際に生産行程管理者になるためにはどんな点をチェックされるのでしょう。下の「チェックポイント」を見て下さい。チェックポイントが沢山あることが分かります。これで「有機JAS」が付された農産物がとても大切に育成されたことが分かりますね。右のボタンをクリックしてチェックポントをご覧下さい。


生産行程管理者(個人を指すのではなく団体やグループ、法人)は、内部に「生産行程管理担当者」「格付担当者者」を置くことが義務付 けられます。「生産行程管理担当者」も「格付担当者」も、登録認証機関の定める規定の講習を受けなければなりません。


*有機JASに関しての正確な知識については「認定オーガニック講座」で学習することをお勧めいたします。詳細はトップページから各コースの詳細をご覧下さい。