■有機JAS(食品のオーガニック規格)

「オーガニック」という言葉、今では私たちの日常にすっかり馴染んでますが、日本では一般的に「オーガニック」というと、「農薬や化学肥料を使用しない農法や、そうやって作られた作物」をイメージする人が多いようです。

  例 えば、スーパーマーケットで「無農薬野菜」といった表記を見たことがあると思います。この表記は正確に言えば「表示違反」になります。ここでは詳しく触れませんが、この「無農薬」で栽培したことを誰が証明してくれるかがとても重要です。多くの場合、「無農薬野菜」=安心・安全なものととらえられているようです。また中には「無農薬」=「オーガニック(有機)」と誤解されているようです。

 普通、米や野菜などの作物は、通常、農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤など)だけでなく、化学肥料、土壌改良剤、調整剤、消毒剤など、種や苗の状態から私たち消費者の手に届くまでの流通過程で、多くの化学物質を使っています。また輸送途中で有害な化学物質に汚染されたりすることがあります。仮に本当に無農薬だったとしてもその中の一部の薬品を使ってないからといって、安全な作物とはいえません。  

 有機JASの規定では、通常の慣行農業を行っていた生産者の方ががオーガニックに切り替えるとなると23年の農地の転換期間が必要となります。なぜなら、一度化学肥料を使った農地というのは、その化学肥料が土壌から消失するまでにかなりの時間を要すためで、実際1970年代まで使用されていた殺虫効果の高い農薬DDTは、約40年経った今でも土地を掘り起こすと発見されることもあるのです。

   また仮に「うちは農薬や化学肥料を使わないで作っているよ」という農家さんがいたとしましょう。この場合、近隣農家がどのような農業を行っているか?(例: 化学肥料や農薬の散布方法等)、近くにゴルフ場や松林などないか?(殺虫剤の大量散布等)など、近隣農家の理解や協力、周辺環境もオーガニックには大きく影響 してくるのです。

 自身で畑に足を運び、種、栽培方法、保管等々、専門知識をもって確認しない限り、なかなか安心安全なものと見極めるのは難しいのが現状です。

 専門知識等々持たない方が、オーガニックの食品を手に入れたい場合、その見極め方は実はとても簡単で「有機JASマーク」があれば原則OKです。「オーガニック」「有機」といわれるものは、農林水産省のオーガニック規格「有機JAS」に則って生産・製造されたものを指し、その規格に通ったものは「有機JASマーク」が貼付されるのでいたってシンプルです。  

  安心・安全で健康なな暮らしの基本は「健康な食物、農産物を摂ること」にあります。そのためにはまず、この有機JASマー クがついているものを積極的に選び摂取することで、自身や家族、大切な人たちの健康を守っていきましょう。利便性、合理性と引き換えに私たちの暮らしの中 にある多くの食べ物は、アレルギーや発がん性物質のもととなる食品添加物や農薬が大量に使われているのが現状です。 私たちの未来のため、次世代の子供たちのために正しい知識をもって命をつないでいきましょう。 

 有機JASマーク

日本農林規格。太陽と雲と植物をイメージしたマークで、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられている。有機JASに沿って作られたことが認められた商品だけが「オーガニック」「有機」と表示可能。