ADI(Acceptable Daily Intake)とは残留農薬などの「一日摂取許容量」のことで、「ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないと判断される量」でADI=mg/kg/dayで表します。
(mg=許容量 kg=体重1kgあたり day=1日につき)
 

 この数字は動物実験で害がなかった数値を1/100(安全係数)にしたものです。

 この計算に必要な物質の許容量はppmで表されます。

 ppm(parts per million)=100万分の1という意味です。1ppm=1mg/kg(1kg中1mg)を指します。
 
 残留農薬基準などでよく見かける「0.01ppm」とは、0.01mg/kgのことで野菜1kg中に0.01mg を超えてはならない量を表します。

 

計算方法

【例】農薬メタミドホスの残留基準=0.01ppm
   体重50kgの人が1日に許容出来る摂取量は、0.01mg×50=0.5mg/dayとなります。
   仮に、0.06ppmのメタミドホスが検出されたお米を茶碗一杯分食べてしまったとしたら、その   摂取量は、茶碗1杯のご飯の量約200gとすると、
   0.06mg×0.2=0.012mg摂取したことになります。

   この量が安全かどうかを判断するには、残留基準が0.01ppmと比較します。
   0.01ppm⇒0.01mg/kg(体重)/dayを表わすので、この人の場合、
   0.01×50=0.5mg つまり1日0.5mgまでなら安全圏となります。

   上の計算から 0.012mg<0.5mg となるのでとりあえず安全となる訳です。

   (メタミドホスのADIは0.0006mg/kg/dayと設定されています。残留基準は日本人の1日の平均
    食事摂取量を勘案して設定したとされています。)


考慮すべきこと

 ただし、ここで一考する必要があります。残留農薬ポジティブ制度で定められている数値はあくまで単体物質についてです。例えば米の残留農薬ポジティブリストにはおよそ77物質(農薬)について基準値が定められています。国産米の場合、地域特性もありますが平均約5〜10物質が残留していると考えられますのでそれらを全て足した場合には複合しますので、単体物質のADIが許容範囲であったとしても複合された場合の許容量は不明です。国は複合した場合の健康被害はこれまで報告がないと言ってますが、これが正しいかどうか自体極めて不明です。この結論については環境省が推し進めている「エコチル調査」の結果を待たなければいけないでしょう。常識的に考えれば「複合汚染」はあると思われます。